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フォービズムと独立美術協会

佐伯祐三がパリでブラマンクに一喝されフォービズム(野獣派)に画風を一変させたことは良く知られている。佐伯は最後には何かに取り憑かれたように一日数点も制作し、その狂気のような制作態度が身体を蝕み、結核により早世してしまうことになった。佐伯の生き様は、天才であるが故の夭折ということだけでなく、この時期における画家の姿勢を表している。画家はより主観的な追及を目指すようになり、己の命を削るかのように画布に向かう画家も少なくはなかっただろう。原田光によれば「対象を思いきり信頼するあまり対象をのりこえてしまいそうになるほど激しく相手にせまる自分というものを強く表現した」(※)画家が多くいた時代である。そうした表現への強い気持ちは二科会という枠だけに収まり切れず、独立美術協会(以下:独立)が誕生した。1930年結成された独立は、フォービズムやシュールレアリズムを中心とながらも創造的な制作と、活発なグループの動きをして近代洋画の新たな展開を加速させた。

独立美術協会の画家たち

1930年協会


前田寛治

1927年に前田寛治、里見勝蔵ら洋行帰りの画家によって結成された。わずか3年の活動であったが、独立美術協会への発展など新しい潮流を作った重要な動きといえる。

-画家-
前田寛治/里見勝蔵/木下孝則/小島善太郎/佐伯祐三/林武/野口弥太郎/林重義/木下義謙/古賀春江/宮坂勝/中野和高/中山巍/児島善三郎/鈴木亜夫/鈴木千久馬/福沢一郎/川口軌外/伊原宇三郎/長谷川利行

 

独立美術協会創立メンバー


里見勝蔵

既成団体からの独立を宣言し、フォービズムの独立として始動した。模倣に止まらない日本的なフォービズムを追求し、新時代を築き二科会とともに在野の有力団体となった。

-創立会員-
里見勝蔵/高畠達四郎/中山巍/児島善三郎/小島善太郎/清水登之/伊藤廉/鈴木亜夫/鈴木保徳/川口軌外/林重義/林武/三岸好太郎/福沢一郎//野口弥太郎/海老原喜之助/須田国太郎/小林和作

独立の発展と分派


中間冊夫

独立美術は創立メンバーの強い個性を継承する形で展開・発展していく。独立美術の成熟期であり絶頂期もある。しかしながらフォービズムの里見勝蔵とシュールレアリストの福沢一郎との対立が深まり、1937年里見が脱退、1939年福沢らが脱退し、美術文化協会が誕生する。

-1930年代-
井上長三郎/田中佐一郎/大野五郎/妹尾正彦/松島一郎/中村節也/今西中通/飯田操朗/浦久保義信/菊池精二/中間冊夫/斉藤長三/上田清一/熊谷登久平/森芳雄/居串佳一/三岸節子/森有材/中尾彰/富樫寅平/寺田政明/

-独立以外のフォービズム-
恒川義雅/笠原吉太郎

 


今井憲一

戦争が美術に影を落としながらも、戦後に活躍する画家がこの時期に芽生えはじめていた。

-1940年代-
靉光/赤堀佐兵/志村計介/菅野恵介/高松甚二郎/坪内節太郎/山田栄二/山道栄助/鳥居敏文/杉全直/青柳暢夫/佐川敏子/竹中三郎/今井憲一/加藤陽/奈知安太郎/宇根元警/緑川広太郎/島村三七雄/清水錬徳/小出三郎

木村忠太/鳰川誠一/高橋忠弥/吉岡憲/斑目秀雄/矢崎牧廣/山本正

 

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原田光・土方明司編『日本の近代美術〜1930年代の画家たち』(1993)大月書店
板橋区立美術館『ふたつのモンパルナスParis&Tokyo』(1990)
和歌山県立近代美術館『1930年協会の作家たち展』(1980)
『近代日本美術事典』(1989年)講談社
『20世紀物故洋画事典』(1994年)美術年鑑社

※本ページは団体のページではありません。現在については独立美術協会のサイトをご覧下さい。

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